しつけ&問題行動

当院で、奨励している犬のしつけ方法のご紹介

・子犬の社会化の重要性

・人間が犬のリーダーになるための15のアルファー化プラン
    〜あなたとワンちゃんとのよりよい関係を築くために〜



◆◇子犬の社会化の重要性


私たち人間同様、動物たちの成長過程にも発達段階があります。誕生後から整理するとその段階は順にこのように呼ばれています。


・ 新生児期(生後0〜2週齢)

・ 移行期(生後2〜3週齢)

・ 社会化期(生後3〜12週齢)・・・前半後半かみつく力の調節

・ 若年期(12週齢〜性成熟)

・ 成熟期(性成熟〜生涯) 


あなたのワンちゃんが人間の生活にうまく順応し、理想的な家族の一員になるためには「しつけを行うこと」だけでなく、この「犬としての発達に合わせた経験をさせること」が重要となります。特に大切な社会化期を中心に、それぞれの段階に合わせて紹介します。




犬の新生児期新生児期(生後0〜2週齢)


誕生直後の犬は目も開いておらず、ミルクを飲むことと睡眠をひたすら行うだけです。この時期は排せつすら母犬が陰部や肛門をなめないと行うことができません(したがって人工保育を行う時は人間が刺激を与える必要があります)。しかしミルクのありかを知るための臭覚はすでに発達していて、母犬や乳房の臭いを感知できます。そこでこの時期から犬の親子を人間の生活域の中に置くと、人間の臭いを知らず知らずのうちに経験するので、臭覚や聴覚が発達した時にも怖がらずに人と接触できるようになるといわれています。つまり子犬の経験やその影響は生まれた時から、あなたの手元に来る前から始まっているわけです。




犬の移行期移行期(生後2〜3週齢)


この時期になると目がうっすら開き、身体もしっかりしてくるので寝床の中で動き回ることができます。また移行期の後半には母犬の刺激がなくても自発的に排せつします。臭覚以外に視覚、聴覚の機能も活発になるので、脳の発達が顕著なのもこの時期の特徴です。




犬の社会化期社会化期(生後3〜12週齢)


◆◇前半(約7週齢まで)
視覚や聴覚、身体の機能もしっかりし、好奇心が旺盛になってきます。この時期の子犬たちは、寝床から出て兄弟同士遊んだり、周囲を探索したりするようになります。食事をとって眠るだけではなく、興味あるおもちゃを見つけて兄弟と取り合いをしたり、母犬相手にレスリングを試みたりと活発に動くことで、犬として必要なコミュニケーション法を学んでいるのです。のちにしつけや家族の一員として育てる場合に不可欠な「順位制」や「相手との関わり合いである社会性」も、この時期にまず親や兄弟から学びます。したがって社会化期前半まで(少なくとも生後約7週齢まで)は母犬や兄弟犬の元で育てることの重要性は注目されていて、国によっては子犬の流通に年齢規制をもうけているところもあります。

子犬の社会化期


◆◇後半(生後7週齢〜12週齢)
コンパニオン・アニマルである犬や猫は自分と同種の動物だけでなく、人間とも共存し人間社会にも適応する必要があります。そこで前述した社会化期に同種の動物と十分接触させ、さらに積極的に人間社会も体験させることが特に大切です。今までに「新しく子犬をもらう時期は生後2ヶ月齢が適当だ」と言われてきたことも、実はその時期こそがまさにこの社会化期後半であるからです。新しい飼い主の育て方次第で適切な社会化ができるかどうかが決定される重要な時期といえるでしょう。人見知りをし、恐怖感を持つ前に適切な社会化ができるよう以下に具体的な方法を示します。



□ 犬に対して

犬のしつけ

親元を離れた子犬を室内飼育すると、他の犬との接触はほとんどなくなってしまいます。
たとえ親犬や兄弟とともに育っても、その後(特に社会化期後半)に他の犬との接触がなければやはりコミュニケーション能力が不完全な犬になってしまうので、親元を離れた後も年齢や体格の近い犬と接触する機会をなるべく持つ必要があります。


□ 人に対して

犬のしつけ

核家族や一人暮らしでは犬が他人と接する機会もおのずと少なくなります。
しかし、人間社会で生涯暮らす以上、人との接触は避けることができないので、今のうちに多種多様な外見の人、例えばひげ、めがね、帽子、傘をさす人、子供、大人、老人など様々な年齢層、乳母車を押した人、大きな袋を持った人など、様々な通行人に会わせることは、その後の問題の予防にもなります。


□ 環境に対して

犬のしつけ

動物が見知らぬものを恐れたり、避けたりすることは自然界で生存する上で不可欠なことでした。
しかし犬の場合、人間社会に対して恐れを抱いてしまうと、日常生活の中で問題を起こし、飼い主との関係にも悪影響を及ぼします。
そこで、前述したようにその子犬が将来接する環境に慣らしておくことはその後のしつけを容易にさせます。
子犬にとって見知らぬものは全てその対象です。歩道橋、踏切、階段などから始まり、将来その子が触れる環境は全て含まれます。車に乗せる練習などもこの時期から始めると良いでしょう。

□ 噛みつく力の調節 このほか社会化期の子犬に必ずマスターして欲しいことには、「噛みつく力の調節」があります。
周囲の物を確かめるために口を使うことは人間の幼児同様、子犬の自然な行動です。しかしその対象により噛む力を調節しなくては、コミュニケーションはもちろんのこと、家具なども破壊し、人間社会での生活はできなくなってしまいます。
本来母犬や群れの年長者から習う「噛みつく力の調節」を飼い主も意識して教育してください。人が痛いのを我慢して犬と遊ぶのではなく、犬に噛む力を抑制することを教えるためには、人間の手や服などを決して遊びの対象、おもちゃの代わりにせず、決して歯を当てないことを教えることがまず大事です
その一方で旺盛な子犬の好奇心を満足させるために、適切なおもちゃと運動も十分に行います。






犬の若年期若年期
体格がかなり大きくなり、大型犬ではすでに体力負けしてしまうこともあるのが、この年齢です。
性成熟に達してホルモンの状態に変化が出て、雌雄特有の行動が出現する前に社会化期から目標にしていること(人や犬や環境への社会化、噛む力の調節)が実現できた方がその後の問題も少なくなります。
また、すでに犬の行動に振り回されて対応が分からない場合は早めに専門家に相談してください。




犬の成熟期成熟期
性成熟に達することで身体の成長はほぼ完了しますが、精神面や経験は年齢に応じて発達し、変化します。
つまり、良いことも悪いことも経験を重ねるごとにそれぞれの犬の行動に影響を与えているので、社会化期までの子犬のように、共通した項目だけを教えたり、決まった方法で対応したりすることは不可能になります。
何歳になってもしつけは可能ですが、悪い経験をしていればしているほどその矯正には時間と根気が必要です。
また問題となる行動の種類によっては、避妊手術や去勢手術、薬物治療を併用することもあります。





◆◇人間が犬のリーダーになるための15のアルファー化プラン 
   〜あなたとワンちゃんとのよりよい関係を築くために〜


◆はじめに

人間と生活する犬(以下犬)は、祖先のオオカミが群れで暮らしていたのと同様に、飼い主家族と犬自身を群れとして生活をしています。その群れの中で、犬はリーダー(=アルファ)を必要とし、飼い主がリーダーとなって犬を安心させなくてはいけません。しかし犬がリーダーになってしまっている場合があり、これをアルファシンドローム(権勢症候群)といいます。
アルファシンドロームは飼い主対犬の関係、環境、犬の性格などが問題となり、いろいろな犬の問題行動の原因となっています。これから示す15のプランを用いて、あなたがリーダーであることを示し、ワンちゃんとのよりよい関係を築いていってください。



◆15のアルファ化プラン



・1.リーダーは犬から注目される

ペットとアイコンタクト

あなたと犬との間に、コミュニケーションができるチャンネルをまず確立することが大事です。そのために、名前を呼んだら犬があなたに注目し、目と目が合うように教えます。これをアイコンタクトといいます。




・2.リーダーは頼りになる

飼い主はリーダー

食事の時間を利用して、あなたがリーダーであることを分からせるようにします。
飼い主がいなければ食事にありつけない(=生きていけない)事を犬に実感させます。食べ物を入れた食器を出しっぱなしにして、いつでも食べられるようにしていては、このメッセージは伝わりません。




・3.リーダーが先に食べる

食事もリーダが先

飼い主と犬との食事時間が重なるようなときは、必ずあなたから食事を始め、その後で犬に与えるようにします。犬の食事は食器に用意しておいて、飼い主や家族が座って食事を始めるまで、犬の口の届かない所に置いておきます。
食べ始めて数分たったら席を立って食器を取り、犬に与えるようにします。




・4.リーダーはほめたり、ごほうびをあげる

ごほうび

犬がかまってほしいとあなたの所に来たら、いわれるままになでたり遊んだりするのではなく、まず「おすわり」などをさせて上手にできたことに対するごほうびとして、たくさんほめてかまってあげるようにします。




・5.テリトリーへの出入りはリーダーが先に

リーダーが先に

犬とテリトリー(家、車など)に入ったり出たりするときは絶対に犬をあなたより先に行かせないで下さい。玄関や門の前、車の前などでリードを使ったり、言葉で命令するなどして、犬を待たせるようにします。
これによりあなたがリーダーであることを分からせると同時に、飛び出しによる事故も予防できます。




・6.リーダーがテリトリーを支配する

テリトリーとリーダー

犬はリーダーであるあなたにテリトリーを譲らなくてはいけません。
例えばあなたが通ろうとする場所に犬が寝ていたら、避けたりまたいだりしないで犬をどかして通るようにします。




・7.命令は一度だけ

命令は一度だけ

命令するときはお願いしたり叫んだりしてはいけません。
低くしっかりした口調で命令します。そしてどんな単純な命令でも、命令は一度だけにし、確実に従えるようにします。




・8.ゲームの主導権は常にリーダーに

ペットと遊ぶとき

犬とゲームをするときは必ずあなたが主導権を握るようにしてください。
例えばボール遊びをするときは、あなたがボールを持ち出してきてゲームを始めます。そしてあなたの意志でゲームを終わらせ、もっと遊びたいと犬があなたに注目しているうちに犬の届かないところにボールをしまうのです。一回のゲームを長くするよりも短いゲームを何回もしてあげるようにします。また、犬があなたをリーダーとして完全に認めていないで、引っ張りっこに勝つ自信がなければ、引っ張りっこ遊びはしてはいけません。




・9.リーダーは一番よい場所を確保する

ペットとベッドで寝てもいい?

犬とベッドを共有すると、犬はあなたを同格の仲間と思い込んでしまいます。
犬を寝室に入れて別の寝床で寝かせるのはかまいませんが、犬があなたをリーダーとはっきり認識するまではベッドにあげてはいけません。




・10.マズルコントロールはリーダーのしるし

手を犬のマズル(=口吻)の上に置き、そのまま数秒間軽く押さえておきます。
犬をなでるときに自然にやるようにします。これをマズルコントロールといいます。
犬の社会では優位者が劣位者の口吻を軽く噛み、お互いの信頼関係や上下関係を確認しあう、いわば儀式のようなものです。ただし、噛んだりうなったりする犬には無理にしないで、他の方法で飼い主に従うようにトレーニングをしてからマズルコントロールの練習をして下さい。




・11.リーダーのすることには慣れさせる

犬には定期的にグルーミングしてあげ、体中どこを触っても大丈夫な様に慣らさせます。
陽性強化法(うまくできたらごほうびをあげてその行動を強化することで嫌がる場所も徐々に慣らしていきます。嫌がってじっとしていないようなら、ピーナッツバターなどを犬の頭の高さに冷蔵庫のドアなどに塗り、それをなめさせながら手入れをします。
これにより頭をじっとさせられ、またごほうびにもなります。
犬が喜んで床の上でグルーミングを受けるようになったら、今度はテーブルやベンチの上にあげてグルーミングします。
これは診察台の上で診察を受けるのにも役立ちます。犬が3ヶ月齢に満たなければ、抱き上げて腕の中で仰向けにします。静かにしていたらほめてあげ、暴れるようなら何も言わないで腕の中で静かになるのを待ち、静かにしていられたら床に戻してあげます。この場合は「もがいても自分の自由にはなれない」事をはっきり示すことが大切なのです。




・12.リーダーは先生

犬の訓練

訓練するのです。
しかし犬に文句を付けるのではありません。
リーダーは犬が良くない行動をした時にそれを止めさせようとするだけでなく、どうすればよいのかを教えなくてはいけません。




・13.「フセ」はリーダーに従う姿勢

伏せ

最初は犬に「フセ」の命令で伏せるように教えます。
一回の命令で喜んで素早くフセをするようになったら、一日一回20分間のフセを続けさせます。ちゃんとできたら大いにほめてあげましょう。フセの訓練はあなたが新聞を読みながらでも食事をしながらでもできます。ただし、犬が間違いなくできるよう手助けするため犬の近くにいてあげましょう。支配的な犬の場合は、フセを無理にさせようとすると嫌がることがあります。そのため、この姿勢は様々な訓練の後で、あなたが犬に尊敬されるようになってからやった方がよいでしょう。




・14.仰向けの姿勢はリーダーに従うしるし


仰向け、伏せは服従の姿勢

一日に一度はおなかをさすってあげましょう。まず「フセ」の命令をします。フセを知らなければおもちゃやおやつで誘導してフセをさせます。そして片方の太股の内側をかいてあげることから始めます。あなたの注意を引きつけてリラックスできると犬が理解すれば、犬は進んでおなかを見せるようになります。服従の姿勢をとるのがどんなに楽しいかを教えてあげます。




・15.リーダーの態度は常に楽しく公平でやさしく、しかも一貫していること

しつけは公平、一貫、楽しく

常に安定した態度でしつけることが大切です。短気ではいけません。
あなたがいらいらしている時はしつけ訓練はしないことです。あなたも犬も常に楽しんでいるのだという自覚を持ってください




ペットのしつけ最後に・・・


現在あなたはいくつのことが実行できているでしょうか。
この15のプランを実行してみることで、犬との生活がいっそう楽しくなることは間違いないでしょう。
本来の犬の性質を利用した犬との会話法を是非実行してみてください。
この表はその実行ができるまでのチェック表です。是非ご利用し、犬との生活を満喫してください。



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